転職してすぐ転職を考えるのは、「きつい」「合わない」という感覚だけならまだ早く、最低1年は様子を見るのが1つの目安です。
入社してすぐに「この会社、違うかもしれない」と感じ、次の転職について検索しはじめた方も多いと思います。短期間で辞めることへの不安や、また同じ失敗を繰り返すのではという迷いを抱えている方も少なくありません。
この記事では、転職してすぐの転職がまだ早いといえる基準と、期間に関係なくすぐ動いていいサインを解説します。あわせて、同じ理由で転職を繰り返さないための考え方も、キャリアアドバイザーの立場からお伝えします。
この記事でわかること
- 「きつい」「合わない」という感覚だけでは、まだ判断が早い理由
- 期間に関係なくすぐ転職を考えていい2つのサイン
- 同じ理由で転職を繰り返さないために整理しておきたい視点
- 転職してすぐ動く場合に後悔しないための2つの動き方
転職してすぐの転職は基本的にまだ早い
入社して間もない時期の転職は、デメリットの方が大きくなります。短期間での離職は、次の転職活動で「またすぐ辞めるのでは」という見方につながり、選べる求人の幅も狭くなります。
新卒で入社して2か月ほどのタイミングで、「このまま続けられないと思ったので」という理由だけを持って相談に来たほうがいました。理由が抽象的なままだと、次の職場でも同じ壁にぶつかる可能性が高く、この時は続けられるところまで続けることをおすすめしました。短期間で辞めることのマイナス面が大きいと感じられる場合は、無理に動かず、今の職場で続けられるだけ続ける方がいいと伝えています。
ただし、1年経たないうちに転職活動が進み、内定が決まって動くケースもあります。実際には、辞めてから相談に来る方の方が多いのが実情です。
新卒者に限らず、入社後すぐに転職を考える人自体は珍しくありません。厚生労働省の調査では、令和4年3月に大学を卒業して就職した人のうち、3年以内に離職した人は一定数います。その割合は33.8%でした※1。
とはいえ、同じ「早期離職」でも、理由をあいまいにしたまま動くかで、その後の状況は変わってきます。

転職してすぐ辞めたくなるときに見るべき3つの視点
「辞めたい」と感じたときこそ、感覚だけで判断しない視点を持ってください。考え方を整理するための視点を、3つの段階にわけて説明します。
きつい・合わないは辞める理由にならない
「きつい」「合わない」という感覚は、個人的な物差しに左右されやすく、それだけでは動く理由として弱いといえます。実際に相談を受けるなかでも、この感覚だけで転職を考えている方には、判断はまだ早いと伝えるのが基本です。
同じ職場・同じ業務内容でも、「きつい」と感じる基準は人によって異なります。今の環境だけを問題視する前に、その感覚がどこから来ているのかを一度切りわけて考える必要があります。
最低1年を目安に様子を見る
転職してすぐ辞めたいと感じても、少なくとも1年は今の環境に留まって状況を見極めるのが基本の考え方です。
1年という期間のなかで仕事の全体像がつかめてくると、最初に感じていた「きつさ」が、単に慣れていないだけだったと分かるケースもあります。業務の流れや職場の人間関係も、数か月では見えなかった部分が見えてくる時期です。
1年経っても合わない場合の考え方
1年やり切った上で合わないと感じているなら、その感覚には根拠があります。
ただし、1年を過ぎたタイミングでも、もう少し様子を見たほうがいいと伝えることがあります。1年間で担当業務や人間関係のすべてを試し尽くしたとは限らず、まだ試していない工夫が残っている段階もあるためです。
様子を見るべき段階を整理すると、以下のとおりです。
| 状態 | 対応の目安 |
|---|---|
| 「きつい」「合わない」という感覚だけがある | 最低1年は様子を見る |
| 1年経っても合わないと感じている | 感覚に根拠はあるが、もう少し様子を見てもいいと伝えることもある |
今すぐ転職を考えていい2つのサイン
一方で、期間に関係なくすぐに動いたほうがいい状況もあります。ここまでの「様子を見る段階」との違いを整理すると、次のとおりです。
| 状態 | 対応の目安 |
|---|---|
| 「きつい」「合わない」「行きたくない」という気持ちだけがある | 様子を見る段階(無理に動かず今の環境で様子を見る) |
| 直接的な攻撃(暴言・理不尽な扱い)を受けている、または心身の不調で出社できなくなっている | 期間の長さに関わらずすぐに動いていいサイン |
判断の基準になる2つのサインを、それぞれ見ていきます。
直接的な攻撃や理不尽な扱いを受けている
暴言や不当な扱いが続き、精神的に追い詰められている状態にあるなら、在籍期間の長さに関わらずすぐに動いていいサインです。
ここでいう直接的な攻撃とは、例えば「お前みたいな代わりはいくらでもいる」といった暴言を指します。ほかにも、同じ言動でも自分だけが咎められるような理不尽な扱いを含みます。「行きたくない」という気持ちだけならまだ踏みとどまれる段階ですが、こうした攻撃が続く環境は、様子を見る対象にはなりません。
心身の不調で出社できなくなっている
出社しようとしても体が動かないほど心身が限界に近づいているなら、期間の長さを気にせず動いていいサインです。
実際に体が動かず出社できなくなっている場合は、我慢を続ける段階ではありません。このサインが出ている場合は、退職や転職を考える前に、まず病院で医師に相談することをおすすめしています。

同じ理由で転職を繰り返さないための2つの視点
何度も同じつまずきを繰り返さないためには、辞める前の整理が欠かせません。意識してほしい視点を2つ紹介します。
退職理由をあいまいにしたまま次を探さない
退職理由を整理しないまま次の環境を選ぶと、同じ壁に何度もぶつかりやすくなります。
私が相談の最初に必ず聞くのは退職理由です。退職理由を解消できる求人かを考えないまま次に進むと、同じことを繰り返す可能性が高くなるためです。例えば「なんとなく合わなかった」で終わらせたまま次の求人を選ぶと、何が合わなかったのかを確認しないまま、同じような職場を選んでしまいます。
理由を解消できる求人かで選ぶ
次に選ぶ環境の基準は、今回辞める理由がそこで解消されるかです。
例えば人間関係が理由なら次の職場の人間関係を、労働環境が理由なら勤務条件を、具体的に確認しておくと安心です。理由と選択基準がつながっていないと、環境を変えても同じ不満を繰り返しやすくなります。
転職してすぐの転職で変わる年代別の見られ方
転職してすぐの転職に対する企業の受け止め方は、年代によって変わります。20代とそれ以降でどう違うのかを説明します。
20代はポテンシャルで前向きに見られやすい
20代のうちは、伸びしろを評価してもらえる場面が多く、成長を期待する文脈で好意的に受け止められやすい傾向があります。短期離職があっても、マイナスに直結しにくいのが実情です。
30代以降は短期離職が不利に働きやすい
30代・20代後半以降になると、短期離職はマイナスに評価されやすくなります。
「そういう人なんだな」という見られ方をされやすいのが実情です。会社都合の倒産といったよほどの理由がない限り、書類上は事情に関係なく短期離職として扱われます。自らの年代でどこまでが許容範囲とされているかは、一般的な目安として意識しておくといいと思います。
20代と30代以降で、企業側の受け止め方は次のとおりです。
| 年代 | 短期離職の見られ方 |
|---|---|
| 20代 | 伸びしろを評価され、成長を期待する文脈で好意的に受け取られやすい |
| 30代以降 | マイナスに評価されやすく、書類上は事情に関係なく短期離職として扱われやすい |
転職してすぐ転職するときに後悔しない2つの動き方
転職してすぐ動くと決めた場合も、進め方次第で後悔は減らせます。後悔しないための動き方を2つ紹介します。
転職活動は在職中にはじめる
次の環境探しは、今の仕事を続けながら並行して進めるのがおすすめです。
収入が途切れない状態で比較・検討できるため、焦って求人を決めてしまうリスクを減らせます。辞めてから探しはじめると、生活費への不安が先に立ち、退職理由を解消できない求人にも妥協しやすくなります。例えば在職中に応募や面接を進めておけば、内定が出たタイミングで退職を伝えられ、空白期間を作らずに次の環境へ移れるでしょう。
次のキャリアも働きながら考える
この先どう働くかについても、今の仕事を続けながら整理していくのがおすすめです。
辞めてから考えようとすると、収入面の不安から目の前の求人に飛びつきやすくなります。今の仕事を続けながら整理する方が、同じ理由での転職を防ぐことにもつながるでしょう。例えば「次は何がしたいか」を決めないまま退職すると、目先の条件だけで次の職場を選んでしまいます。
転職してすぐの決断に迷ったら話してみませんか
転職してすぐ動くべきか、それとももう少し様子を見るべきか。一人で結論を出すのが難しい場合もあると思います。
転職の先輩では、「転職しなくていいかもしれない」という結論も含めて、一緒に整理する場を大切にしています。無理に転職を勧めることはありません。
まずは今の状況やモヤモヤを、話せる範囲で聞かせてください。相談は無料で、登録も不要です。「相談したい」の一言からで大丈夫です。